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HOME >  佐賀大学の教員紹介 > 『佐賀大学の教員紹介』教育学部 髙島千鶴 先生

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2021.08.10
佐賀大学の教員紹介

教育学部 学校教育課程  髙島千鶴 准教授

 

 

1.ご出身はどちらですか?

 

 広島市です。そこそこ街なかで育ちました(笑)

 

 

2.この道の先生になろうと思ったキッカケについて

 

 小さいころ戦隊モノの怪獣が好きだったようで祖父がそれに似た恐竜の図鑑を買ってくれて、そこから恐竜が好きになりました。中学校のときには「恐竜が研究できる地学関係の道に進もう」って決めていました。「現在、存在していないものがどうしたらわかるんだろう」とか「恐竜の背中に乗ってみたいな」とか想像が掻き立てられるところが面白いと思っていました。大学では恐竜の研究はできなかったんですけど、「石灰岩」(※1)の研究をしていました。これは岩石に残っている化石の種類から海水準の変動を見ていく研究で、この研究は私の研究基盤となっています。大学院では温泉に堆積する石灰岩と同じ成分の堆積物を調べて「先カンブリア時代(※2)の環境復元をする研究」へと繋がっていきました。

 

※1 石灰岩:生物起源の化石を含むものと、化学的沈殿の化石を含まないものがある
※2 先カンブリア時代:約46億年前に地球が誕生してから、初めて大型多細胞動物の化石が産出する5億4100万年前までの期間の約40億年を指す地質時代

 

 

3.研究についてお聞かせください。(研究の魅力・抱負)

 

 研究は温泉の堆積物や水を分析して先カンブリア時代の堆積物の形成過程を解き明かしていくことで、太古の地球環境の復元を目指しています。先カンブリア時代に海洋で出来たといわれる縞状鉄鋼層の地層とかストロマトライトという堆積物と同じ成分の堆積物が現在の温泉にも見られます。鉄や炭酸カルシウム(貝殻と同じ成分)のような鉱物組成も同じ、縞模様とか組織もよく似ているんです。先カンブリア時代の海水温は今よりも高いとの報告があり、温泉に近いような海洋環境だったのではないかと想定していて、温泉を調べて行けば当時の地球環境を読み取る手がかりが得られると考えています。今の温泉を調べることで、何十億年前の海洋環境や微生物群集組成を明らかにしていきたいです。
 研究職の魅力は、やっぱり「発見」があることですかね。顕微鏡を覗いてみるとミクロな世界があって、更に電子顕微鏡では、何を見ても全然違う世界が広がっているので、自分が知らない世界を知った時に一番「感動」します。その「発見」と「感動」を「自分の手でできる」っていうのは結構魅力だと思っています。あとはある程度事前に予測しながら研究していくんですが、予測通りになっても嬉しいですし、違ってもまた「なんでだろう?」っていう面白さがあるので、何をやってもどんな結果が出ても面白いです。上手く行かないのが続くと残念に思うこともありますが、でもなんだかんだ言って「面白いな」って思います。

 

 

4.学生に教えている授業内容について

 

 教えている内容は「地球科学」です。「地学概論B」を担当しています。高校でいうと「地学」は固体地球、天体と気象と地球進化に大きく4つに分かれているんですが、私が担当するのは主に「気象」と「地球環境の変遷」、です。あと「フィールド実習」ではみんなで野外に行って露頭観察や地質調査をしています。例えば、みんなで地形図を持って、海岸に行って地層が見えている「露頭」を観察して、どこにどういう岩石がどのくらいの傾斜でどの方向に広がっているだろうということを記録しながら、そこの地質図を作っていくという学習をしています。「地学実験」では小中高でやるような基本的な実験に加えて、薄片を作るなど、「地球科学」を実感できるような実験をしています。
 あとは、私の専門の「地球生命科学」という地球が誕生してから人類の誕生までの環境と生物進化を踏まえ、気候変動や資源問題について考える授業をしています。「地球科学」は日本では結構マイナー分野ですが、今の地球環境問題、気候変動、資源問題を教える上で「重要な学問」と思っています。現在までの地球の環境を知らないと将来の環境予測もできないので、「地球科学」は過去・現在を知って将来を予測するという学問で、地球の未来を考える為に学生には基本的な地球設定は知っていてほしいと思います。

 

 

5.学生に向けて一言いただけますか?

 

 「4年間をぜひ有意義に過ごしてください」と一番言いたいですね。今はコロナ渦で自由にはできないかもしれないですけど、人生で考えたらこんなに自由な時間を使える期間ってないと思います。「何がしたいのかわからない」っていう子もいると思います。きっと自分の可能性に気付くためには手当たり次第に勉強するなり、活動することが必要だと思います。社会に出たらなかなかフォローしてもらえたり助けてもらえたりできないですから、今の内にいろいろ勉強して失敗もして経験を積んで欲しいと思っています。是非この4年間を最大限に生かして本当に有意義に過ごしてほしいですね。

 

 

6.佐賀に住んで感じたことはありますか?

 

 地元が街なかだったので、それを考えるとちょっと不便だなと思うところありますが、それよりものんびりゆっくり過ごせるのがいいですね。あと優しい人が多くて、佐賀の人の優しさに感動することが度々あります。

 

 

7.休日はどのように過ごされていますか?

 

 家に引きこもっています(笑)テレビを見たり、漫画を読んだりしています。漫画は誕生日に年に一回大人買いをするんです。自分の小さい頃に見た漫画を買うことが多いです。

 

 

8.今後の目標をお聞かせください。

 

 先カンブリア時代に応用できるようによりケーススタディを増やしていく予定です。物理化学は理論を元に展開していきますが、逆に地球科学はいろんな証拠を集めて、収束させていき、そこからなるべく矛盾のない説を考えるということになります。まだまだその証拠集めをしている最中です。最終的には先カンブリア時代の地球環境の復元を目指していきたいです。

 

 

9.県下の企業・自治体・学校の中で何かやるとしたらどんなことをやりたいですか?

 

 地球科学という学問はマイナーなので、地球科学の学問の普及活動のお手伝いはできると思います。