- 農学部
タマネギべと病の根絶防除を可能にする生物農薬の開発
公開日 2023.05.24最終更新 2024.09.30
簡単に
言うと?土壌中の微生物の力を利用して、伝染の環を断つ!
言うと?土壌中の微生物の力を利用して、伝染の環を断つ!
自治体 | 佐賀県 |
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実施部局 | 農学部 |
研究代表者 | 草場 基章 教授 |
事業分類 | TSUNAGIプロジェクト(令和4年度) TSUNAGIプロジェクト(令和5年度) |
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研究概要
タマネギ苗が感染する「べと病」を防ぐには農薬が一般的ですが、土壌中にあるべと病菌まで届きません。そこで原因菌の卵胞子に寄生する土壌微生物を利用した生物農薬を開発します。
研究について
近年、佐賀県では「タマネギべと病」が大発生し、産地崩壊にもなりかねない状況でした。べと病菌は土の中で秋に植え付けられたタマネギ株に感染します。感染したタマネギ株は翌年2月頃発病し、株全体に胞子が広がります。その胞子が空気伝染して感染が拡大。土にも混入し、伝染環(伝染のサイクル)を繰り返しています。まずは土壌感染を防ぎ、伝染環を断ち切ることが重要です。しかし土の中まで届く農薬はなく、防除は困難でした。
本研究では、べと病菌の卵胞子(※)に寄生する土壌微生物を利用した生物農薬を開発しています。土の中で卵胞子が大量死する事があり、これに土壌微生物が関与しています。この土壌微生物を生物農薬として土に混ぜ、増殖・定着できれば高い効果が得られます。
これまで罹患株の抜き取りや農薬散布で空気伝染の制御しかできず、その労力・コストは生産者にとって負担でした。生物農薬は生産者をその負担から解放し、産地の活性化にも役立ちます。また他の病害への応用も期待されています。
※卵胞子 卵菌と呼ばれるカビに近縁な微生物の胞子で主に土壌中などでの耐久生存のために作られる。タマネギベと病菌はタマネギ組織の中で卵胞子を形成する。
https://www.pref.saga.lg.jp/kiji00370267/3_70267_145582_up_zuo52a2k.pdf
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