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『佐賀大学の教員紹介』 シンクロトロン光応用研究センター  山本 勇 先生

2020.12.10
佐賀大学の教員紹介

シンクロトロン光応用研究センター 助教 山本 勇 先生

 

 

1.ご出身はどちらですか?

 

 千葉県で、大学院の修士課程まで住んでました。その後、研究拠点が大阪に移ったため3年弱ほど大阪で暮らしてます。学位取得後は、愛知県の分子科学研究所で2年間ポスドクをさせて頂き、その後、佐賀大学に着任しました。

 

 

2.この道の先生になろうと思ったキッカケについてお聞かせください。

 

 特にコレっと言った大きなキッカケはなかったと思います。ただ子供の頃から、理科の実験が好きで、色が変わったりとかマグネシウムリボンがパァーと燃えたりとか電気分解とかの自然科学現象などを体感できるのが楽しかったです。それと、ミステリ漫画などの謎解きやパズルゲーム感覚で数学が好きでした。その後、どんどん覚えることが増えて理数系の科目が少し嫌になった時期もありましたが、学んでいくと実はとてもシンプルな数式や現象として捉えることができて、おもしろいと感じる時期を繰り返していたと思います。大学の卒業研究では、有機薄膜をテーマにました。それも、もちろんおもしろかったのですが、これまで学んできた物理・化学や数式を使って行う実験や結果の解析はとても有意義に感じましたし、まだ明らかになっていない物理現象やその支配要因を解き明かすことにもわくわくしました。この頃から、研究者としての道のりを模索し始めたと思います。

 

 

3.研究についてお聞かせください。(魅力や抱負など)

 

 主に有機薄膜物性について研究しています。例えば、色んな基板の上にnmオーダーの分子薄膜を作って、薄膜構造や電子のエネルギー状態を調べたり、レーザー光を照射して分子や基板に余剰エネルギーを与えた時に、どうやって余剰エネルギーを失っていくかを調べたりしてます。有機物とは生物の主な原料で構成される物質です。分子は立体構造を持ってますので、薄膜中の分子の並び方で物性が変わったりして無機物にはない特徴を持ってます。また、電子のエネルギー状態や光エネルギーの緩和経路などを理解することは、基礎学術的な観点からだけではなく、有機太陽電池などの応用面からも重要です。今後は、薄膜構造や電子のエネルギー状態の制御し、光エネルギーの緩和経路を設計するというのが目標です。簡単に言うと、取り出したエネルギーが熱になってエネルギーが逃げて行ったりしないように、限りなく電気は電気のままで100に近い状態で取り出したり流したりできる経路を設計することが目標です。
 研究の魅力については、曲げれたり透明といった魅力的な特徴をもつ有機デバイスの開発に関連しているというのもありますが、私としては実験が好きで、自分の思い描いたように結果がでるのも楽しいですし、そうならなかった時の原因を解き明かすことに研究の魅力や醍醐味を感じます。

 

 

4.学生に教えている授業内容についてお聞かせください。

 

 少人数のゼミ形式で、卒業研究のテーマに関連した英語の教科書を輪講しています。毎回1人学生さんが先生役をやり、教科書に書かれている内容について授業をしてもらい、他の学生さんは、事前に読んできてわからなかったことや、授業を聞いて疑問に思ったことなどを先生役に質問しながら議論していくことで、科学的な英文の読解力や英語表現を身に着けてもらう授業となってます。

 

 

5.学生に向けて一言いただけますか?

 

 どんなことでも良いので、興味や好奇心を持って能動的に取り組めるものを見つけて欲しいです。それが自分にとって楽しいと良いのですが、楽しくなくてもひとつひとつ自分で、もしくは自分たちで積み上げていけるという自信や力を養ってほしいと思ってます。なにをやってもダメではなくて、過去からの経験や積み重ねで、物事に対していろんなアプローチの仕方ができて、それをやっていけば少しずつでも前へ進んでいける。その自信や力は、社会に出てからだけでなく人生を生き抜く糧になるんじゃないかと思います。

 

 

6.佐賀に住んで感じたことはありますか?

 

 佐賀には住んで10年くらいなります。おすすめのスポットは鹿島・太良周辺の牡蠣小屋、呼子の朝市などです。たくさんの美味しいものが手軽に手に入ることに驚きました。

 

 

7.休日はどのように過ごされていますか?(趣味など)

 

 美味しいものを食べに出かけるついでに、温泉とか自然とかの、ちょっとした観光スポットに行くというのが多かったですが、最近は、図書館や近くの公園で子供と遊んでいます。

 

 

8.県下の企業・自治体・学校の中で何かやるとしたらどんなことをやりたいですか?または、企業や社会人の方へ一言いただけますか?

 

 当センターの設立目的の1つとして、佐賀県シンクロトロン光応用研究施設事業を学術的立場から支援・協力するというのがあり、これからも研究開発や地域発展など様々なことに貢献していきたいと考えています。
 シンクロトロン光は、シンクロトロン加速器で発生させる人工の光(電磁波)のことで、理学・工学や農学、医学・薬学といった基礎・応用研究だけではなく、材料加工や品種改良などの産業利用研究まで非常に多くの分野で利活用されています。佐賀県の地域産業支援センターが管理・運営している九州シンクロトロン光研究センター(SAGA-LS)では、産業利用コーディネート支援というのがあり、シンクロトロン光の利活用を含めて、県内企業の技術的な問題や課題解決の支援を行ってますので、是非一度SAGA-LSのホームページをご覧になってください。また毎年9月末か10月初旬にSAGA-LSの一般公開が開催されてます。今年はコロナ禍の影響でWeb開催でしたが、我々も毎回参加して当センターの紹介などを行ってますので、機会があったら是非一度訪れてみてください。

 

 

10.センターのご紹介をお願いします。

 

 シンクロトロン光という特殊な光を使って、半導体などの物性の基礎研究からデバイス材料の開発などの応用研究だけでなく、新しい測定手法や分析技術の開発なども行っています。地域貢献にも積極的に力を入れてまして、九州地域を中心とした大学間で連携協力体制を築いてシンクロトロン応用研究の推進も行ってます。また、次世代の人材育成に寄与するために、電気電子工学科および物理科学科より卒研生を受け入れてシンクロトロン光に関わる実践教育を行ってますので、興味があったら是非見学にきてください。