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『佐賀大学の教員紹介』総合分析実験センター 永野 幸生 先生

2020.11.10
佐賀大学の教員紹介

総合分析実験センター 准教授 永野 幸生 先生

 

 

1.ご出身はどちらですか?

 

 岡山県の総社市です。佐賀市よりは田舎だけど最近発展してきています。岡山と倉敷のすぐ横だからでしょうかね。高速道のジャンクションもあるから佐賀の鳥栖のような場所です。ここに高校生まで暮らしていました。

 

 

2.この道の先生になろうと思ったキッカケについて

 

 小学校のころ、学研の「科学と学習」っていう雑誌があって、それがすごく面白かったのです。親から顕微鏡を買ってもらったりもしました。とにかく理科が好きでした。研究者という仕事があるのだって聞かされて、もう小学校の頃から「研究者になる」って決めていました。
 大学は、京都大学の食品工学の学科を出ています。ただ、実際行った研究は学科名とは関係ないです。大学4年生の頃に、葉緑体のゲノムが分かったので、次は機能解析をしていこうみたいな流れがあったのですが、そういった研究を卒論の指導教員に勧められました。それで、そういう研究に興味をもって、「遺伝子・ゲノム」の分野に入っていきました。4年生の時から博士課程まで、このボスと一緒に研究をしました。その後、滋賀医大に3年いたのですが、前のボスが名古屋大学に移ったので、そこに呼ばれて行って5年いました。それから佐賀に来ました。

 

 

3.研究についてお聞かせください。

 

 基本的には、僕は「分子生物学」が専門です。単一遺伝子主義みたいなものがありますが、一つの遺伝子を解析するっていうのがずっと流行っていて、私もそれをしていました。けれど、分析機器が発達していって、2010年頃からとにかく全部の遺伝子を調べるっていう方向に分子生物学自体が方向転換したのです。それで、自分の研究も大きく変更転換させることにしました。2013年頃です。結構最近です。
 まずは、方向転換前の研究を説明しますね。この頃は、面白い遺伝子を見つけて、機能解析をすればいろんなことが分かっていくのだろうっていうアプローチでした。それで本当におもしろいやつを見つければ研究としては大成功するのです。そういった時代だった事もありますが、それをやってみて本当に面白かったのですよ。自分でもいくつか面白い遺伝子も見つけました。その一つの例ですが「キチン」っていうのがカビの主成分で、それは植物にとって敵なのです。植物が「キチン」を検出する仕組みがあるのですよね。この「キチン」をきちんと検出する仕組みを明らかにしました。
 方向転換後の研究を説明しますね。全部の遺伝子を調べるっていう、いわゆる「ゲノム科学」って言うのが新たに起こってきました。この分野は「面白い」って思って研究を始めました。「ゲノム科学」という方法で、現在は食べ物になる生物の多様性を調べています。研究分野を変えてきた事で、研究対象となる材料の制限がなくなったのが楽しいですね。ただコロナ禍で今は行けないけれど、面白いものが外国にあったりするので本当は外国に行きたいんですよね。

 

 

4.学生に教えている授業内容について

 

 「ゲノム科学」っていうのはデータサイエンスなのです。それで、大学院の授業ではデータ解析の実践を教えています。皆さん結構真面目に受けるけどなんか難しいみたいです。農学研究科と先進健康科学研究科と二つ同じ内容の授業を持っているのですが、両方とも受ける人がいます。結構食いついてくる。難しいのだろうけど、たぶん大事だと思ってちゃんと理解しようと思っているのでしょうね。

 

 

5.学生に向けて一言いただけますか?

 

 「最善を尽くせ。Do your best。」
 研究の姿勢とかで楽をしようとしている場面に遭遇することがあります。例えば、学会発表でふたつの学会があって前のやつを使いまわそうとしたりすることがある。毎回ちゃんとベストなものを発表しようよ、と言いたい。そこは最善を尽くして欲しいですね。研究じゃなくてもですよね。なんでも最善尽くした方がいいと思います。

 

 

6.佐賀に住んで感じたことは?

 

 住みやすいです。小規模な地方都市が一番住みやすいなと僕は思っています。大きい町って移動に車がつかえないのですよね。そのかわり地方都市の人は運動不足になるのですが。
 あとは、未だに言葉がよく分からない。最初に佐賀に来て自転車壊れて自転車屋行って言葉がわかんなかった。当時まだ「ばってん荒川」の番組があって、テレビ見ていて、テレビの内容が「わかんないわぁ」って困った(笑)普通にテレビを見ていてテレビがわからないのだから、それは驚きました(笑)

 

 

7.休日はどのように過ごされていますか?

 

 妻と時間かかっても美味しいものを追いかけて食べに行きます。県内のおススメは、伊万里のドライブイン鳥。最近アニメで聖地といわれているところです。後、武雄の餃子会館(笑)。時間かかっても行きますね。鳥栖だったらカレー屋さん。ライアンカリーが美味しいです。

 

 

8.今後の目標をお聞かせください。

 

 遺伝子資源の保存拠点を海外に作りたいです。「果樹の遺伝子資源を保存したいな」っていうのがあります。保存の仕方には2つあって、1つはめずらしいやつを現場で残すというもの、もう一つは管理下で残すというもの。きちんと管理して残すことと現地で保存が両方できると良いですね。ただどんどん産業化が進んでいくから現地保存は難しくなるでしょうね。

 

 

9.県下の企業・自治体・学校の中で何かやるとしたらどんなことをやりたいですか?

 

 今の研究は、食べ物になる遺伝子資源の多様性を調べています。実はこの事が、美味しいものが好きなことと繋がっています。食文化、ゲノム、食の多様性の繋がりみたいなものをやりたいなと思っています。

 

 

10.総合分析実験センターの紹介をお願いします。

 

 共用機器を管理するセンターです。これから本当にしなくちゃいけないのは、もっとパワーアップして、中国やアメリカ並みにコアファシリティを作ること。共用機器を使ってみんなが研究していくっていうきちんとした体制ができる事がすごく大事だと思っています。そこが他の国に遅れたから日本のサイエンスが弱っているわけです。そこで我々が頑張って学内にコアファシリティを作っていきたいです。あと学外者利用も始めていて、地域にも貢献しようとしています。コロナで止まっているのですけどね。これからもっと地域にも貢献したいですね。