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『佐賀大学の教員紹介』経済学部 児玉弘先生
2020.08.26
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経済学部 経済法学科 児玉弘 准教授

 

  1. ご出身はどちらですか?

 

 出身は北海道芽室(めむろ)町、帯広の隣町です。あの朝ドラの「なつぞら」の舞台辺りですね。風景はあんな感じですが、市井の人たちにはもっと生活感があります(笑)

 実家は十勝で農家をやっています。実は長男で、私と同様に農家の長男坊という同級生は農家を継いでいますが、私は物心ついた時から、両親からは「農家を継いでくれるな」と言われていました。今考えるとほんとのところは違ったかもしれませんが、当時はそのまま言葉通りにとって、農業を継がないならば、どこかで仕事をしないといけないから大学に行こうと決めました。消極的な理由です。

 

 

  1. この道の先生になろうと思ったキッカケについて

 

 大学で法律を勉強したのも消極的な理由です。高校までの授業で、“寝ず” に話を聞けたのは日本史の授業でした。歴史を勉強するんだったら文学部ですよね。でも、高校1年生当時の担任の先生から、「文学部では飯が食えないから文学部はやめておけ」と言われたんです。そこで、当時は「法学部はつぶしがきく」といわれていたので法学部へ進学しました。

 大学3年生の時に公務員を志望したんですがゼミの先生に「もうちょっと勉強したいんだったら勉強してもいいんだぞ!」と言われて、そのまま公務員試験を受けずに大学院に進学しました。法律というと“暗記” というイメージがあるかと思いますが、勉強するうちに暗記だけではない部分があることに気が付いて面白くなって、博士課程へ進学しました。就職の際は、最初に声をかけていただいた佐賀大学に来ました。

 

 

  1. 研究についてお聞かせください。(研究の魅力・抱負)

 

 ずっと研究しているのは法律の「時間」ですね。「法律学」は結構「時間」をぶつ切りにする学問なんです。未だに六法全書の中では、明治時代に作ったようなカタカナの法律が、生き残ってたりします。或いは、「判決」もそうですね。その “時” の判断で出た「判決」ですよね。でも、実際の僕たちの生きている社会では、当然時間の流れや変化があって、それをあんまり学問としてうまく取り入れられてないんじゃないかというのが一番の問題意識です。具体的には、諫早湾の問題なんかですよね。公共事業は、造ったら長く続くものですよね。だけど、工事してみてわかったようなことがあっても、「もうできたんだから、後から言われても困る」みたいなのがある。それは法律、学問として、無機質というかすごい固いような気がするというか。それは、問題なんじゃないのかなっていうのが、私の本来の研究のど真ん中の部分ですね。

 原発も同じですよね。ある時点で安全だと判断したから原発できるわけですけど、後からよく見たらここにやっぱり活断層がありましたとか。ダムも動き出したら止まらない。やっぱりいらないんじゃないかっていう話にならないですよね。なので、時間をすごい無視しちゃってるんじゃないのかなっていうのが、最初の問題意識なんです。

 まぁ、難しいから研究してるんですけど、自分のやってることと、実際の社会との接点、結びつきを時たま感じられることがあって、そういう時に魅力を感じます。イメージとしては、大学の先生って書斎というかカビ臭い研究室にこもってなんかやってんだろうと思って僕もいたし、一般の皆さんも思ってるかも知れないんですけど、そうじゃないなって思ってます。

 

 

4.学生に教えている授業内容について

 

 授業は行政法を教えてます。半分は公務員志望の学生が多いので将来の進路にとって役に立つと思ってるんです。あと半分くらいの学生は民間とかに就職していくので、大学で習ったことが社会で直接的に生きてくるってことはあんまりないけど、根底の部分で生きてると僕は思ってます。社会との接点っていうのは意識をしていて、学生も社会の出来事とかを見ながら授業の内容を意識してもらいたいなっていう考えもあって、なるべくそういう授業をやるようにしてます。

 社会科学は「社会」を対象にしてる勉強ですから、勉強の素材やネタって無数に社会に転がってるわけです。今は大学がほぼ閉まっちゃって、学生は大学に来られないっていうのはあります。だけど、前向きに捉えれば、今起こってる出来事は多分100年後とかに、僕らが今「100年前のスペイン風邪がどうだ」とか「あの時のペストがどうだった」っていうドキュメンタリーで見ているのと同じように言われる可能性はあって、その状況を正に見ているっていうのは、これはなかなか経験しようと思ってできることじゃないから、ちゃんと自分の目で見て考えて欲しいなと思います。社会科学は幸いに大学構内じゃなくても、社会を見れば勉強できるので、是非見て考えて欲しいなと思ってます。

 

 

5.学生に向けて一言いただけますか?

 

 今のコロナの状況を、考える素材の宝庫として捉えてほしいです。状況をちゃんと自分の目で見て、人の言動やニュースに惑わされずに、自分で見たことをベースに考えてもらいたいなという風に思います。今の状況だけじゃなくて、いつでもそうですけど、その考え方とか考えるための道具を、授業とかゼミとかで僕に限らず諸先生が教えておられるんだろうと思いますので、そういうのと実際社会の接点を意識して生活してほしいなと思います。

 大学が何のためにあるのかっていうと、社会に出る前に「答えがないことをあれこれ考える訓練する」「考える道具を身につける」、そういう場なんだろうと思っていますね。

 

 

6.佐賀に住んでよかったこと・佐賀の魅力は?

 

 食事に行きます。有明海の漁師さんと仲良くなって、牡蛎や生ノリを食べたんですが、とてもおいしいですね。実家が農家だったので、畑で取れないものに感激します。

 佐賀は「ちょうどいい」。自分は農村の出身なので田舎は平気だし、自分に合っています。少し足を延ばせば福岡がありますし、食べ物もだいたいおいしいですね。佐賀牛もおいしいし、ぶどうをよく食べますが果物もおいしいですね。農業の豊かなところだと思います。人も良いですね。都会はせかせか歩いている人がいますが、こっちはゆっくり生きていて、自分にはこっちのほうが向いています。ただ、梅雨明けや夏はどうしようもなく暑いのと、醤油が甘いのが苦手です。やっぱり醤油はしょっぱいのが好きです(笑)。

 

 

7.今後の目標をお聞かせください。

 

 最近、ありがたいことにお声掛けいただいて、原稿を書いたり、市民向けの講座をやったりしています。先のことを考えられなくて、目の前のことを一つずつやっている感じです。お声がけいただいてるうちが花だと思って、一つずつ誠実にやっていきたいと思っています。

 

 

8.最後に、県下の企業・自治体・学校の中で何かやるとしたらどんなことをやりたいですか?企業や社会人の方へ一言いただけますか?

 

 もし何かをやるとしたら、すでにあることは面白くないので、新しい枠組み等、どこかに“新しい何か” があるようなことをやりたいです。最近、役所の方と金融機関の方が偶然「金融リテラシー」をやりたいと言ってきたんです。調べてみると、佐賀はキャッシュレス決済が全国で一番進んでいなくて、なおかつ、金融リテラシーも低いという結果もあって、金融リテラシーの低さとキャッシュレス決済が進んでいないことは関係があるかもしれないということがわかったんです。で、金融リテラシーを学ぶことで、何かが変わるかもしれないということになり、コロナ渦のオンラインの状況で、実務家の方を交えた「金融リテラシー」のプログラムを作成していこうとなりました。いろいろな関係者を巻き込んで、佐賀という規模だからこそできる、ツール等を作ろうとなっています。楽しみです。