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多機能車いす

利用者目線のものづくり

『多機能車いす』は、リクライニング機構や昇降機構などを備えた、介護対応型の車いすです。 この『多機能車いす』開発は、大分市で訪問理美容を行っている(有)ビューティフルライフの田中社長からの相談がきっかけでした。 田中社長が訪問理美容に行った際、従来の車いすでは散髪や洗髪の際に作業がしにくく、また利用者にとっても、長時間座り続けることは負担になっていました。そこで、田中社長は、利用者が、安心・安全・快適に美容サービスを受けることのできる車いすを作ることを目指し、佐賀大学を訪問されて、共同研究開発がスタートしていきました。
利用者目線のものづくり

多機能車いすの特徴

  1. チルト&リクライニング機構
    通常の車いすではリクライニング時にズレが生じ、利用者に痛みを感じさせたり、座り直しが必要となっていました。 『多機能車いす』では、チルトとリクライニングを連動させた機構を採用し、ズレが生じないような設計になっています。
  2. 昇降機構
    ベッド等からの移乗を簡単にするため、座面の高さを調整できる昇降機構(座面高50~65cm)を搭載しています。また、ひじ掛けも座面高まで下がり、車いすとベッドの隙間を埋めて、簡単な移乗をサポートします。
  3. 体圧分散シート
    長時間座っていても、体が痛くなりにくいよう、座面の固さをパーツごとに調整しています。
  4. 省スペースで旋回できる機動性
    メインの車輪を、利用者のへその真下に設置することで、旋回性能を上げ、理美容の現場など十分にスペースが取りにくい場所での機動性を高めています。
多機能車いすの特徴 体圧分散シート

今後の展開

利用者目線に立ち、細かな部分まで作りこんだ設計のおかげで、多くの利用者の方に好評をいただいています。 また、東日本大震災後、被災地の避難所にこの車いすを持ち込み洗髪ボランティアを行った際、その快適さが口コミで広がって、理美容以外に、内科や歯科の診察等でも利用されるようになりました。 今後も、多くの障がい者や高齢者が快適に過ごすことができ、また、できるだけ自分のことを自分でやれるような自立サポートのできる商品の研究開発を行っていくことが目標です。
利用者目線に立ち、細かな部分まで作りこんだ設計